平成21年度ITBLシンポジウム
2009年5月29日
平成21年度ITBLシンポジウム
ITBLシンポジウムでは、これまで各分野のITBL利用者による利用事例の紹介、成果について発表、議論を行って参りました。今回は、各コミュニティよりITBLへの要望や改善点を挙げて頂き、ITBLの将来像を討論することを目的として、ITBLシンポジウムを開催いたします。各コミュニティによるITBLを利用した研究開発の現状、これからの研究開発、連携研究のあり方等について発表して頂くと共に、ITBL利用環境の発展と各分野の科学技術や研究開発の成果に寄与していくために必要なITや計算機環境について討論致します。
終了いたしました。
講演資料についてはこちら より閲覧可能です。
テーマ
HPCと次世代ITBL
会場
海洋研究開発機構 横浜研究所 三好記念講堂
参加費
無料(懇親会費3000円)
懇親会費につきましては、当日受付にてお支払い頂きます。
参加登録
受付は終了いたしました。
プログラム
[見学会]
11:00〜11:30
ES2見学会(要・申し込み)
[第一部] 基調講演
13:00〜13:10
開会の挨拶(ITBL委員長)
13:10〜13:40
「格子QCDデータグリッド ILDG/JLDG」 (PDF/910KB)
筑波大学計算科学研究センター 吉江友照
素粒子の強い相互作用の研究に用いられる格子QCDシミュレーションでは、その基礎データである"配位"の生成に膨大な計算資源を必要とする一方で、生成された配位を用いて様々な物理量を計算することが可能である。貴重な資源である配位を大域的にかつ効率的に共有できれば、研究の格段の促進と、計算資源の有効活用を実現できる。この目的で、格子QCDコミュニティでは、国内の研究グループ用の Japan Lattice Data Grid (JLDG)と、研究グループを越えた国際規模での配位共有を実現する International Lattice Data Grid (ILDG) を構築し運用している。本講演では、ILDG/JLDG の概要、運用形態、実績、将来構想を概説する。
13:40〜14:10
「JAXA統合スパコンの概要とその宇宙開発への応用」 (PDF/1,630KB)
宇宙航空研究開発機構 松尾裕一
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2008年4月より新スパコンの導入を進めてきたが、この2009年4月より全面稼動した。新スパコンは、JAXA統合後、初めて調達するものであり、JAXA統合スパコン(JSS)と呼ばれ、今まで手薄であった宇宙開発へのシミュレーションの適用を主な課題としている。JSSは、大規模並列システム、共有メモリシステム、ベクトルシステム、ストレージ等から成る、使い勝手や旧システムからの円滑な移行に配慮した実用計算志向の複合システムであって、理論性能120TFの最大システムのLinpack実行効率は91%以上を有する。本講では、JSSの構成概要と幾つかのアプリのベンチマーク性能、今後の適用動向等について報告する。
14:10〜14:40
「8年目を迎えた地球シミュレータ」 (PDF/5,709KB)
海洋研究開発機構 島田敏明
2002年2月に完成した地球シミュレータの出現は大きな衝撃であった。地球シミュレータの存在はその後の計算機科学、シミュレーション科学の動向に大きな影響を与えた。利用面においても、IPCC4次報告への貢献を始めとして、地球科学・先進科学分野において地球シミュレータの果たしてきた役割は小さくない。増大する計算重要に対応、技術革新による運用コストパフォーマンスの向上などを図るため、2009年3月に地球シミュレータの更新(ES2)を行った。地球シミュレータシステムとその利用・運用について紹介をする。
14:40〜15:10
「ITBL基盤ソフトウェアの現状報告とITBLコミュニティ紹介」 (PDF/2,231KB)
日本原子力研究開発機構 鈴木喜雄
ITBL基盤ソフトウェアは、ITBL計画(平成13年度〜17年度)において仮想研究環境を構築するために研究開発したソフトウェアである。現在も、ITBL研究開発に関する協力協定(NIMS、NIED、JAXA、RIKEN、JAEA機関間協定)および大学や企業との協力関係を継続しており、研究機関や大学のコンピュータ19台を連携した仮想研究環境を運用している。研究機関、大学、企業からの利用者は、仮想研究環境上に各専門分野の研究コミュニティを形成(現在は13研究コミュニティ)して研究活動を行なっている。また、平成19年度には、各研究コミュニティが結集したITBL利活用研究コミュニティを形成し、研究コミュニティ間の情報交流を深めるための活動を行なっている。
本講演では、ITBL計画の概要とITBL基盤ソフトウェアの現状について報告するとともに、研究コミュニティについて簡単に紹介する。
15:10〜15:30 休憩
[第二部] ITBL利活用研究コミュニティ活動報告
15:30〜16:00
「物性解析・材料設計コミュニティ活動報告」 (PDF/17,781KB)
物性解析・材料設計コミュニティ 赤井久純(大阪大学)
物性解析においてはITBL技術を用いた大規模シミュレーションが力を発揮する。特に、実際の物質と解析機器を用いた解析による物性や機能発現の機構解明は必要とされるリソースとコストの面からいって到底現実的といえない場合も多い。これに対して計算機シミュレーションは安価で環境負荷も小さく、良くコントロールされた条件下での「実験」を行うことができ、非常に効率的に解析・機構の解明を行うことができる。また、このような技術を高度に使うことによって、単なる模倣であるシミュレーションを超えて、その逆問題である新しい材料、構造のデザインを行うことができる。
16:00〜16:30
「ITBL環境におけるオープンソース並列CAEシステムADVENTUREの活用」 (PDF/2,154KB)
計算力学(ADVENTURE)コミュニティ 吉村 忍(東京大学)
本講演では、オープンソース並列CAEシステムADVENTUREの概要を紹介した後に、ITBL環境でADVENTUREを活用する一例として、パラメトリックスタディーの仕組み作りについて紹介する。具体的には、ITBLクライアントAPIによるADVENTURE_Opt(ADVENTUREの1モジュールでパラメトリックスタディーと最適設計を担う)のITBL環境への実装を行った。その結果、クライアント側で実行されるADVENTURE_Optから、ITBL上の並列計算機に対して、最適設計のパラメータを送受信し、ADVENTUREシステムによる並列CAE解析を自動実行できるようになった。
16:30〜17:00
「自動チューニング研究の現状と展望」 (PDF/210KB)
計算の最適化コミュニティ 須田礼仁(東京大学)
自動チューニングとは、ソフトウェアが利用される環境に対して自分自身を最適化することを目指す技術的パラダイムである。古典的な例としては ATLAS や FFTW などハードウェアに適応する数値ライブラリが有名であるが、我々は自動チューニングの概念と可能性をより広くとらえ、汎用的な技術として確立することを目指して研究を進めている。本講演では、自動チューニングというパラダイムの基本的考え方(どんなアイデアで、どんなことをしようとするのか)について紹介したのち、我々のこれまでの取り組みと成果を説明し、現在の研究計画と将来展望について述べる。
17:00〜17:30
「REDIMPSコミュニティ活動報告」 (PDF/1,120KB)
REDIMPSコミュニティ 櫛田慶幸(原子力研究開発機構)
REDIMPSはJSTの主催する戦略的国際科学技術協力推進事業のもと推進されている、日仏の協力研究プロジェクトである。REDIMPSでは、数値シミュレーションの高速実行を目的としてフランスで開発された、最適マトリクスソルバー選択支援システムTLSEを複数のグリッド環境上で動作するよう拡張し、ユーザーの問題に対してより適したマトリクスソルバー候補を提供することを目的としている。日本(JAEA)サイドでは、外部のグリッド環境とITBLグリッド環境を接続し、両環境上の計算機をシームレスに利用可能な技術を開発している。
本発表では、ITBLの利用事例の一つとして、REDIMPSプロジェクトの概要および、仏国グリッド環境とITBLを接続した環境上におけるTLSEの構築に関して紹介する。
17:30〜17:40
閉会の挨拶
18:00〜20:00
懇親会